If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.
2019年10月4日(金)、NCL西条の活動報告会を開催した。
来場者数79名。
1年前に同じ会場で活動報告会をしたときの約30名の来場者数を思えば、数字の面で大きく飛躍した。僕ら、ローカルベンチャー事業を推進する者としては、地域とうまく融合してビジネスを創り上げていくことが求められている。起業家たちは皆、それぞれ上手にやってくれていると思う。その積み重ねがこの数字となった。
これは僕らの活動にとって大きな前進だと思う。
加えて10人目の起業家の山中康寛さんの紹介もさせていただき、ようやくフルメンバーで臨むことができ一層勢いがつくだろう。
活動が徐々に具体化し、売上が上がってきたメンバーもいる。
報告会の最後で、2022年3月時点(3年間)で総売上を1億円という目標を掲げ、現在半年ほど経った時点で300万円の売上であることを報告させていただいた。今はまだ小さな数字だが、少しずつ大きく育てていって次の活動報告会でいい報告ができたら何よりだ。
その後の交流会も大勢の方に参加していただき、僕たちを含めると60人を超え、とてもにぎやかなものになった。メンバーたちも多くの人と交流できたようで、良い交流会だったと思う。
アンケートでの結果も好評だった。
「今後も応援したいと思いますか?」という問いに対してNPS(ネットプロモータースコア)で33ポイントとなかなかいい数字が出たと思う。
もう少し報告会において様々なケアをすることで、より応援してもらえる活動になっていくと思う。年度末はさらに実績を重ねてクオリティを上げていきたい。
参考:報告会での発表資料はこちら⇒https://drive.google.com/drive/u/0/folders/1QKpjEiOFPl_iAPHg_dKv_STix0AthNKQ
実は活動報告会の前にメンバー全員で1泊2日の合宿をしていた。
報告会で少し触れた際に、どんなことをやっているのか気になる、という声をいただいたのでこの稿で触れたいと思う。
合宿の内容は
- 各起業家の現時点でのサービスを各々が体験してみる
- VBM(バーチャルボードミーティング)という手法で事業をブラッシュアップする
という形式。
目的は相互理解と経営視点を学ぶこと、そしてメンバー同士の関係性の向上。
普段、顔を合わせているメンバーでもお互いのやっていることをきちんと理解していないことも多い。
相手を理解していると仕事も頼みやすくなるし、紹介もできるし、コラボもしやすくなる。同じ起業ステージにいるメンバー同士なら良い刺激にもなる。これが起業家コミュニティの良いところの一つである。
どの起業家もそれぞれ考え抜いたことを形にしてきていて、それは事業計画書だけでは伝わらないものだったりする。
僕らコーディネーターは彼らが悩んで苦しんでいる姿を傍で見ながら、まずは一つ形にすることを願っていて、それが今回の合宿で見たり体験できたりしてとても嬉しかった。
また、みんなでBBQをしたり、焚き火を囲んで語り合ったり、同じ時間を共有することはとても大事なことだと思う。一人一人がやることは違うけど、みんながそれぞれ真剣に起業しに西条に来ていることを理解し、互いに尊敬し合える雰囲気が出来てきたように感じた。
こうして合宿1日目が終わり2日目に。
2日目のメインはVBM(バーチャルボードミーティング)。仮想理事会、仮想取締役会という意味の言葉だが、自分が経営陣になったつもりで他人の事業の改善を行うワークのことである。
全員が事業の全体像とサービス内容をある程度リアリティを持った状態で参加するので、鋭い指摘や忌憚のない意見が出ており、それをしっかりと受け止め考え込むメンバーもいて、非常に良いディスカッションの時間になった。
合宿の最後に一言だけ、プライドを捨てた分だけ伸びしろができるということをアドバイスさせてもらった。これは過去の自分への戒めでもあるけど、捨てた瞬間から多くの人の力を得ることができ、事業もスムーズにいくようになった。結局は起業は人間性に大きく依存する。
この2日間は合宿と活動報告会というハードな2日間だった。
それだけにいつも以上に真剣に取り組んだだけあって多くの収穫を得た。
普段、個々の活動をしているメンバーとそれぞれ面談をしていることが多いが、一堂に会すことはなかなかない。それゆえローカルベンチャー事業というものを、各個人の起業家の育成という点だけで捉えるだけでなく、各起業家の事業の繋がりといった線や団体として地域に与えるインパクトといった面の部分も考察するいい機会となった。
幸いNCL西条のメンバー1人1人は自立できるだけの力がある。
僕は彼らを信じることが一番の仕事だと思う。報告会などの後には「○○さんは大丈夫か?」と色んな人に言われるが、大丈夫か大丈夫じゃないかはやってみないとわからないけど、まぁなんとかなるだろうと思っている。起業なんてそんなもんだ。だからそういう声に一喜一憂する必要はない。
NCL西条のメンバーは移住してまで、この西条の地で起業しに来ている。だから幸せになってほしい。きっと西条の人たちもそう思ってくれている。
しかし、その反面で税金を投入しているプロジェクトゆえに、効果がきちんと上がっているのかを気にしている市民も大勢いる。だから個々の事業の成功とは別に、違った角度での成功を創り出す必要がある。
どちらか一方でもダメ。だから両方の視点をもってローカルベンチャー事業を見ていただけたらと思う。
この2日間では、起業家コミュニティの持つ可能性を見ることができた。
一緒に集まってセミナーをしよう、というレベルではなく、互いが磨き合っていく環境づくりこそが本当の意味での起業家コミュニティを作るということだ。
良い時も悪い時も皆で分かち合って成長していく、そんなコミュニティ像が望ましい。
起業家は基本わがままで自信家で、他人に自分の事業のことをとやかく言われたくない人が多い。でもプライドを捨てて、人の意見を受け入れるようになってくると、器が広がり、人も集まり、事業が加速する。活動報告会はそんなきっかけを提供してくれている。
最後に表題の言葉について。
アフリカのことわざらしいのだが、
「早く行きたければ、独りで行け。遠くに行きたければ、皆で行け」という意味だ。
西条市の起業家コミュニティは「遠く」に行くためのものだと思う。3年間のプロジェクトではあるけど、町としてずっと継続していきながら西条市の価値を高めるものにしなければいけない。
そのためには各自地道な事業成長をしていくことが必要であるし、その成長をこの町の人とともに創り上げていくことが大事だと思う。
だから現在の拠点である紺屋町deinをもっとオープンにしていく必要がある。
NCL西条の起業家だけでなく、西条にいる新たなチャレンジャーを含めたハイブリッドな起業家コミュニティを今後も模索していきたい。
それが10年後にこの町にあって良かったなと思われる存在になることを願って。